午後には、微力だけど冬支度のお手伝いもできた。この日のcamino natural Labo.は11月とは思えない暖かさで穏やかだったが、冬の風の威力は凄まじいという。そこで森の木々の苗を、風が直接吹きつけない場所へ移動し、そこを石で囲う。両手で持ってよいしょ、よいしょと6人で運んだ石が、まだまだ頼りない苗木を守るんだ。そう思うと、ほんの些細なお手伝いでも誇らしい気持ちがしてくる。
この気持ちを持ってもらうことが、寿香さんの狙いでもある。森を育てる壮大な計画は、きっかけさえあれば意外と簡単に「自分ごと」になる。
さて、私たちが運んだ「石」について、この日私は見方が変わった。ここには、寿香さんの引越しの決め手になったという立派な石積みがあるし、土木作業に使うようなゴツゴツした大きな石がひとかたまりになって置かれている。
「これは私流のbugs hotelです。森の循環を作っていくには、まずは虫が大切。その住処になるのが石なんです。畑の側に石がたくさん置いてあるでしょう? あそこから毎日虫が出勤して、畑や森の生態系を整えてくれます。ここの作業は人間1人でやっていますが、虫のこと従業員って呼んで協力してもらってます(笑)」
「子連れで来てもいいし、またいつでも遊びに来て」と笑顔で言ってもらい、今度は夫も一緒に来たいな、あの友達もきっと好きそう」という想いが次々に浮かんで来た。