未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
175

小さな森からのおすそ分け 100年後の森を描いて人が集う

文= 小野民
写真= 小野民
未知の細道 No.175 |10 December 2020
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#6石のポテンシャル

先頭が寿香さん、後に続くのが南アルプス市芦安からの参加者のみなさん

午後には、微力だけど冬支度のお手伝いもできた。この日のcamino natural Labo.は11月とは思えない暖かさで穏やかだったが、冬の風の威力は凄まじいという。そこで森の木々の苗を、風が直接吹きつけない場所へ移動し、そこを石で囲う。両手で持ってよいしょ、よいしょと6人で運んだ石が、まだまだ頼りない苗木を守るんだ。そう思うと、ほんの些細なお手伝いでも誇らしい気持ちがしてくる。

この気持ちを持ってもらうことが、寿香さんの狙いでもある。森を育てる壮大な計画は、きっかけさえあれば意外と簡単に「自分ごと」になる。

  • この地に引っ越す決め手となったという立派な石積み
  • 無造作に置かれた石にも虫たちは棲みついている

さて、私たちが運んだ「石」について、この日私は見方が変わった。ここには、寿香さんの引越しの決め手になったという立派な石積みがあるし、土木作業に使うようなゴツゴツした大きな石がひとかたまりになって置かれている。

クモ発見!

「これは私流のbugs hotelです。森の循環を作っていくには、まずは虫が大切。その住処になるのが石なんです。畑の側に石がたくさん置いてあるでしょう? あそこから毎日虫が出勤して、畑や森の生態系を整えてくれます。ここの作業は人間1人でやっていますが、虫のこと従業員って呼んで協力してもらってます(笑)」

「子連れで来てもいいし、またいつでも遊びに来て」と笑顔で言ってもらい、今度は夫も一緒に来たいな、あの友達もきっと好きそう」という想いが次々に浮かんで来た。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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