未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
175

小さな森からのおすそ分け 100年後の森を描いて人が集う

文= 小野民
写真= 小野民
未知の細道 No.175 |10 December 2020
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#7香りは本能を刺激する

さて、野外で1日を過ごした後、体に変化はあるのか? 朝と同じようにブレンドティーをテイスティングしていくと、明らかに朝より体に染み渡る。答え合わせをすると、そのお茶は「Blue」。レモンバームをベースにしたお茶は、淹れると鮮やかな青色。目が疲れている人におすすめらしく、パソコンばかり見ている私にぴったりだ。

  • 植物香水を作るべく、自分好みの香りを探す参加者
  • 筆者が作った香水。香りだけでなく色も好みだから不思議

最後に、参加者皆が小瓶の中で抽出された植物のエッセンスを選んで自然の香水を作ることに。私もインタビュー時に再訪して手に入れた。瓶を明けてふわっと香る香りや見た目から2種類の植物を選んだら、寿香さんが2つの植物の意味を教えてくれる。それはあたかも占いを聞いているように胸が高鳴る。

私が選んだカヤの実には子孫繁栄などの意味やお守りの役目、ブラックペッパーには一旦立ち止まって掘り下げるような意味、それに加えると良さそうな要素として選んでもらったのは、元気をくれるサフラン。3つの蓋を手に乗せて、香りを嗅ぎ、順番を入れ替えてまた嗅ぎ、というふうにして容器に入れていく順番を選ぶ。順番が決まれば、精製水を入れた容器の中にそれぞれのエッセンスを入れていくのだけれど、入れるたびに化学反応が起こって色や質感が変化する様子は、魔法のようだった。

「どう?」と嗅がせてもらった香りは、私の脳天を直撃。思わず「わぁ!」とびっくりしてのけ反ったほどで、「そう、私が好きな香りはこれなんです!」と宇宙に叫びたいような心地だった。甘いのに爽やかな香りの中に、ちょっぴりスパイシーさもあり……とにかく、これは私の香りだ! 自分の香りを手にして以来、お守り代わりに持ち歩き、心細くなったり疲れたりしたらくんくん匂いを嗅いだり、おすすめされたように足裏や頭のてっぺんにつけてエネルギーを回復している。

香りは直感や本能に作用するらしい。家に帰ってからも、お茶や香水を使って感覚が開かれる瞬間を持てると、自分の中の何かが開いて、そこから森や自然に繋がっていける気がする。

手に入れた小さな森からのおすそ分けと暮らしながら、また森に出かけよう。

参加者全員のブレンドティーを持ち寄って記念写真
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
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