北杜市明野は我が家から車で1時間ほど。高速を走って須玉インターチェンジに近づくと秋っぽさが増してきた。初めて行く明野は田畑が広がる、のどかな雰囲気。少し坂道を登った小高い場所に、camino natural Lab.はある。
余談だが、他の参加者一行も山梨県内からの参加。南アルプス市芦安という地域から来た3人のうち、1人は地域起こし協力隊、もう1人は集落支援員という。聞けば、私が住む地域と標高や小学校の規模が似ていて、「ぜひお互い訪ねあいましょうね」と言い合って別れるくらい気が合って、そんな出会いも嬉しかった。
さて、そんな私たち参加者に向けて、寿香さんがまずはcamino natural Labo.について説明してくれた。
寿香さんが荒れ地を森に再生することを目指して動き始めたのは、2016年。同じ明野の別地域からこの地に移り居を構えたところからだった。家の周りの3000坪の荒廃地を借りて、少しずつ買い足しながら手を入れている。
もともとこの土地の多くは、開拓され農業が営まれていたが、耕作されなくなって30年ほどが経過。つる性の植物やススキが幅をきかせて、分け入るのも大変な場所になっていたそう。一部の人工林も間伐などもされずに放っておかれていたので、地面に日光は届かず森の生態系は乱れていた。
「自然に任せていたらいつかは森に戻る。でも人間の手を加えることで再生を早めることができます。でも、それにも100年はかかるかな」とさわやかに言う寿香さん。時間をかけてこの場所の植生の特性を見極めながら、森を育て生命が循環する空間を作ろうとしているのだ。