未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
175

小さな森からのおすそ分け 100年後の森を描いて人が集う

文= 小野民
写真= 小野民
未知の細道 No.175 |10 December 2020
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#2壊すのは人、育てられるのも人

  • 八ヶ岳連峰を望める明野の田園風景
  • camino natural Labo.の一角

北杜市明野は我が家から車で1時間ほど。高速を走って須玉インターチェンジに近づくと秋っぽさが増してきた。初めて行く明野は田畑が広がる、のどかな雰囲気。少し坂道を登った小高い場所に、camino natural Lab.はある。

余談だが、他の参加者一行も山梨県内からの参加。南アルプス市芦安という地域から来た3人のうち、1人は地域起こし協力隊、もう1人は集落支援員という。聞けば、私が住む地域と標高や小学校の規模が似ていて、「ぜひお互い訪ねあいましょうね」と言い合って別れるくらい気が合って、そんな出会いも嬉しかった。

さて、そんな私たち参加者に向けて、寿香さんがまずはcamino natural Labo.について説明してくれた。

寿香さんが荒れ地を森に再生することを目指して動き始めたのは、2016年。同じ明野の別地域からこの地に移り居を構えたところからだった。家の周りの3000坪の荒廃地を借りて、少しずつ買い足しながら手を入れている。

もともとこの土地の多くは、開拓され農業が営まれていたが、耕作されなくなって30年ほどが経過。つる性の植物やススキが幅をきかせて、分け入るのも大変な場所になっていたそう。一部の人工林も間伐などもされずに放っておかれていたので、地面に日光は届かず森の生態系は乱れていた。

「自然に任せていたらいつかは森に戻る。でも人間の手を加えることで再生を早めることができます。でも、それにも100年はかかるかな」とさわやかに言う寿香さん。時間をかけてこの場所の植生の特性を見極めながら、森を育て生命が循環する空間を作ろうとしているのだ。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
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