未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
175

小さな森からのおすそ分け 100年後の森を描いて人が集う

文= 小野民
写真= 小野民
未知の細道 No.175 |10 December 2020
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#3地球温暖化をどうしよう

「地球が温暖化していくと、住みやすい土地は標高700メートル以上の場所になると言われているんです。だからあえて私は標高600メートルのこの場所でも循環を作って暮らしていくことに挑戦しています」

志の高さには一瞬面食らうほど高いが、その高みを目指す姿勢がどこまでも柔らかいのが寿香さんの生き方の肝なのだな、と私は1日を通して感じることになる。

  • 山の木々の実生から育てた小さな苗たち
  • 砂防ダム脇の小川も少し手を入れることで生物多様性を取り戻しつつある

自然に還るダンボールで草を抑制した凸凹の畑で育てられるハーブ、森に植えるための苗木、流れが滞った川を流す「ビーバー大作戦」……案内される敷地内のあちこちに自然を取り戻すための工夫がある。自然に戻していく、そのことを「rewilding」というのだと、この日初めて知った。

「再野生化」、「再自然化」と訳されるrewildingは、自然は最善の方法を知っているという哲学に則って行われるもの。でも、人間が手を加えて壊してしまった自然なのだから、自然化に手を貸すのはいい。寿香さんも実践するその手法の、ほどよい自然との距離感が心地いい。

camino natural Labo.では、rewildingについて現場の研究を深めながらも、訪れる人には手軽に森に触れる体験として、「香り」「食」のコンテンツと組み合わせて伝えていきたいという。

  • 昼食用の焚き火。豆炭も温めて七輪へ
  • 傾斜を利用し、凹凸に作られた畑。雑草が繁茂しないのは、ダンボールマルチのおかげとか。私も来年はやってみよう!
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。