るなぱあくがあるのは、市内にある前橋公園の西端。もともとお堀だったところなので、道路からは背の高い遊具の上のほうしか見えない。歩道から手すりの下をのぞき込むと、遊園地の全景が目に入る。なんだか不思議な感じ。
坂道を下り、園内の事務所に向かった。「こんにちは!」と声をかけると、2階から「はーい」と返事がして、階段を下りてきたのが、るなぱあくの仕掛け人、原澤宏治園長だった。園長は、「フェイスブックを更新するから、少し待っててください」と言って、パソコンを開いた。僕は、「え、自分で更新してるんだ」と意外に感じた。
るなぱあくの歴史を紐解くと、もともとは前橋市の直営だったが、2004年から民間に委託するようになった。それから長らく入園者は約120万人程度で、赤字続き。2015年に「オリエンタル群馬」という会社が「指定管理者」に選ばれた際に、白羽の矢が立ったのが、原澤さんだった。
原澤さんは群馬県の沼田市出身で、県内の銀行で働いていた。群馬で生まれ育ったからこそ、仕事をしながら、若者が減り、企業も衰えて、町の活気が失われていくのを肌で感じていた。銀行員をしながら、「お金を貸す以外にも、なにかできることがあるんじゃないか」「若者が働き、生活したくなるような地域にしたい」という想いが募り、2004年に独立。経営コンサルタントとして、中小企業の経営改善に携わりながら、地域の活性化を志してきた。
その過程で、まちづくりを事業にするオリエンタル群馬ともつながりができた。るなぱあくの指定管理業務に応募するように勧めたのも、原澤さんだ。そして、同社が指定管理者に決まった時に、「地域の活性化にも携わってきたし、サービス業の経験もあるから、園長をやってもらえませんか?」と声を掛けられ、承諾した。
赤字続きの遊園地の園長を引き受けるのに、プレッシャーはなかったんですか? と聞くと、原澤さんは、ハハハ! と朗らかに笑った。
「私がここに来て一番感じたのは、この施設の持ってるポテンシャルなんです。このポテンシャルの高さをうまく表に出してあげられれば、お客さんは来るだろうと思いました」