原澤さんが注目したのは、遊園地なのに入園料無料という位置づけだ。るなぱあくというのは愛称で、正式名称は前橋市中央児童遊園。今も「公園」として存在している。公園ならだれが来てもいいだろうという発想から、子どもだけじゃなく、大人も楽しめる施設にしようと方針を定めた。
原澤さんの決断は早い。就任した年の夏には、大人をターゲットにした「るなぱ DE ナイト」が生まれた。普段は17時(冬季は16時)に閉園するところ、夏休み期間中の金曜日に限り、18時から21時まで開園し、アルコールも提供する。
「るなぱあくを卒業して、もう何年もきてないよねっていう大人が、もう1度来園して、るなぱあくってこんなことやってるんだ、面白いじゃんと思ってくれれば、そこからまた自分のお子さんを連れてきてくれる可能性もあるかなと考えました。実際、夜に来たのをきっかけに、昼間に子どもを連れてくる人も増えましたね」
遊園地の遊具は「子どもが乗るもの」というイメージがあるが、るなぱあくには上限年齢はない。子どもばかりの時には遠慮してしまう大人も、大人ばかりの環境で、軽くお酒が入ると、遊具に乗るようになる。「るなぱ DE ナイト」によって、スーツ姿の会社員やデート中のカップルなど、遊具で楽しむ大人の声が園内に響くようになった。
冒頭に記したダンスバトル「夜のダンス選手権」は、子どもを主役にした夜間開園「るなぱ DE HALLOWEENないと」内で2018年から開催している。ダンスの上手い下手ではなく、仮装であったり、「るなぱあく愛」などが審査対象になる。
自分の子どもが踊っている姿をカメラに収めようと家族総出で来園するきっかけとなり、18時から20時の開園時間に2000人弱が訪れ、夜間開園史上最高の来園者を記録。閉園間際までチケット販売の行列が途切れなかったという。