原澤さんは、スタッフさんにも自由にアイデアを出すように求めていて、ひとりの女性スタッフの「誕生日ごとになにかイベントやったらどうか」という提案から発展した企画もある。それは、2016年1月から始まった、「ばぁすでぃ」。
0歳から乗れる遊具もあるるなぱあくでは、4歳になるとすべての遊具にひとりで乗ることができるようになる。そこで、4歳の誕生日から1カ月の間は何度でも、8台の遊具にそれぞれ1日1回、無料で乗ることができるようにした。利用する4歳児には「ばぁすでぃ」カードを配り、遊具に乗るたびにシールをもらって、コレクションできるようになっている。
これも親心と子心、どちらもくすぐる企画で、間違いなくリピーターを作る仕掛けになっているんだけど、もうひとつ、とても重要な役割を果たしていると聞いて、僕は仰天した。
「ばぁすでぃ」カードをもらうためには、誕生日であることを証明しなくてはならない。その際に、子どもの氏名と住んでいる地域(住所ではない)などを記入してもらっている。それが、貴重なデータとして蓄積されているのだ。
「都道府県、県内の市町村、どこからどれぐらいの人がきているか、わかるんです。このデータを使うと、例えば広告を打つ時にどこに出せば効果的かというのもわかりますよね。入園者をデータ化するのは難しいので、多分、遊園地としてこのデータを持っているところは少ないと思います」
このデータから浮かび上がったのは、地元の前橋市、人口が多い高崎市に続いて、伊勢崎市と渋川市からの来園者が多いこと。興味深いのは、どちらにも遊園地があることだ(華蔵寺公園遊園地と渋川スカイランドパーク)。そこで原澤さんはまず華蔵寺公園遊園地と提携し、互いにリーフレットを置いた。データの活用については、「まだできることがたくさんある」という。