未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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笑顔重視のアイデアで来園者が急増! 「日本一安い遊園地」の再生物語

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.178 |25 January 2021
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#62年連続で最高記録を更新

地域活性の視点から、子育て支援プロジェクト「るなぽけ」も始めた。地域の子育て支援団体と連携し、親子で楽しめるイベントを開催しながらママ友を作ってもらおうという企画だ。

「前橋市はいろいろなところから移住してきている人も多いので、子育てにストレスを感じていたり、悩んでる人も多いと思うんですよ。それならるなぱあくで友だちを作ってもらって、気分転換になればいいなと。経験のあるスタッフもいるので、子育ての悩み相談も聞いています」

「るなぽけ」は、2017年10月の初回から大勢の参加者が集まり、昨年、コロナで中止になるまで、毎回60人から70人のママが集まるようになった。全員子どもを連れてくるので、かなりの大所帯。参加者には会員証を発行し、来園のたびに会員証を掲示すると遊具の利用券を1枚プレゼントしている。ママも子どもも嬉しいイベントだ。

初回の「るなぽけ」の様子。(写真提供:るなぱあく)

なぜ、痒い所に手が届くようなイベントを企画できるのだろう。それはきっと、原澤さんがいつも現場に出てきて、来園者と話をしているからだ。なにか思いつくと、「こういうの考えてるんだけど、どう思います?」と、知り合いでもなんでもない来園者に聞いて回る。その反応を見て、さまざまなニーズを探っているのだ。ちなみに、フェイスブックページや約1万4000人の会員がいるLINEへの投稿も、原澤さんが書いている。それは「お客さんの意見や反応を一番大事にしてるので」。

ここに挙げたのはごく一部で、るなぱあくではほかにも数多くのイベントを開催している。そのすべてが、その1回の集客目的ではなく、次回の来場につながるような工夫がなされている。

それが見事に功を奏して、利用者は急増した。年間の利用者数は1986(昭和61)年の141万人が最高だったが、2017年には146万人に。その翌年には171万人を超えて、2年連続で最高記録を更新した。2020年も、コロナ禍に見舞われながら、143万人が来場している。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
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