未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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年間1万人が訪れる美深町の廃線 トロッコに乗って風の歌を聴く

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.190 |28 July 2021
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#5鉄道ファンに人気のお土産とは?

この人気が今もそれほど衰えておらず、コロナ禍で6月から約4カ月間の営業になった昨年も、約8700人が訪れた。昨年の時点で入国者が累計22万人を超えているというから、毎年だいたい1万人もトロッコに乗りに来ているのだ。トロッコ王国までは札幌から車で3時間超、旭川から2時間弱かかる。この立地を考えると、驚異的な集客力と言えるだろう。

「夏場の半年間だけの営業でこれだけのお客さんに来ていただけるというのは、私たちも予想外です(笑)。お年寄りから子どもまで年齢の幅も広いし、リピーターも多いですね。トロッコは時速20キロ程度しか出ないように調整していますが、自然のなかを走るので気持ちがいいし、線路のガタンゴトンという響きが心と体に響くのが、人気の理由だと思います」

  • 美幸線では汽車も走っていた。
  • 美幸線の時刻表。新聞の朝刊なども運んでいたようだ。

入国者のなかには鉄道ファンも多いそうで、ファンの心をくすぐる作りになっている。アイヌ語で 「村を守る神」という意味のコタンコロカムイと掲げた建物の外装には、美幸線時代の線路の枕木を使用。建物のなかには、美幸線時代の写真や駅に掲示していた備品が飾られている。

  • 犬釘を栓抜きに加工したものも売られている。
  • 鉄道ファンに人気のお土産「線路」。

さらにお土産コーナーでは、美幸線のレールを枕木に固定していた犬釘や整備の際に切り取った線路などが並ぶ。とても重いので、店員さんに「これ、売れるんですか?」と聞いたら、「どちらも人気ありますよ」と言われて驚いた。

実際に国鉄で使用されていた軌道自動自転車も、マニアには垂涎の的だろう。オープン当初に活躍した軌道自動自転車は老朽化したためすでに引退しているが、外に1台展示してあって、自由に乗ることができる。今あるトロッコ20台は、軌道自動自転車をモデルにNPOで自作したオリジナルで、5人乗りだけでなく9人乗りもあるそうだ。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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