この人気が今もそれほど衰えておらず、コロナ禍で6月から約4カ月間の営業になった昨年も、約8700人が訪れた。昨年の時点で入国者が累計22万人を超えているというから、毎年だいたい1万人もトロッコに乗りに来ているのだ。トロッコ王国までは札幌から車で3時間超、旭川から2時間弱かかる。この立地を考えると、驚異的な集客力と言えるだろう。
「夏場の半年間だけの営業でこれだけのお客さんに来ていただけるというのは、私たちも予想外です(笑)。お年寄りから子どもまで年齢の幅も広いし、リピーターも多いですね。トロッコは時速20キロ程度しか出ないように調整していますが、自然のなかを走るので気持ちがいいし、線路のガタンゴトンという響きが心と体に響くのが、人気の理由だと思います」


入国者のなかには鉄道ファンも多いそうで、ファンの心をくすぐる作りになっている。アイヌ語で 「村を守る神」という意味のコタンコロカムイと掲げた建物の外装には、美幸線時代の線路の枕木を使用。建物のなかには、美幸線時代の写真や駅に掲示していた備品が飾られている。


さらにお土産コーナーでは、美幸線のレールを枕木に固定していた犬釘や整備の際に切り取った線路などが並ぶ。とても重いので、店員さんに「これ、売れるんですか?」と聞いたら、「どちらも人気ありますよ」と言われて驚いた。
実際に国鉄で使用されていた軌道自動自転車も、マニアには垂涎の的だろう。オープン当初に活躍した軌道自動自転車は老朽化したためすでに引退しているが、外に1台展示してあって、自由に乗ることができる。今あるトロッコ20台は、軌道自動自転車をモデルにNPOで自作したオリジナルで、5人乗りだけでなく9人乗りもあるそうだ。