未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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年間1万人が訪れる美深町の廃線 トロッコに乗って風の歌を聴く

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.190 |28 July 2021
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#4右肩上がりで増えた“入国者”

軌道自動自転車とは、鉄道員が線路の保守点検の際に使う乗り物で、自転車という名前はついているが、エンジンを搭載していて、アクセルを踏むと前進し、ブレーキをかけると止まる。岩崎さんら町の有志は、国鉄に掛け合って使用していない4人乗りの軌道自動自転車を2台もらい受け、「トロッコ」と呼ぶことにした。

トロッコ王国がオープンしていた頃に使われていた軌道自動自転車。

線路を含む土地は廃線の際に国鉄から美深町に譲渡されていたため、有志66人が「トロッコ王国美深の会」を結成し、町から土地を借りて、遺されていた線路を整備。そして1998年、時速20キロ前後で走るトロッコを使い、仁宇布駅から往復10キロの廃線を走る「トロッコ王国美深」をオープンした。

最初の3年間は土日祝日と夏休み期間だけ開いていて、特に大きな宣伝もしていないのに、初年度に981人、2年目に1093人、3年目に3680人と入国者が増えていった(王国なので『入国者』としてカウントしている)。

そこで2001年より、ゴールデンウイークが始まる4月から10月末まで毎日運航するようにしたところ、7778人と倍増。翌年には1万2304人、その次の年には1万3323人と入国者が急増し、予想外の反響にNPOのメンバーも驚き、喜んだそうだ。

トロッコ王国の路線図。味がある。
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
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