未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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みずうみアソビのススメ 湖で泳ぐ、沼を歩く

文= 川内有緒
写真= 川内有緒
未知の細道 No.194|27 September 2021
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#2山に囲まれたビーチ

湖畔にはカフェやショップも充実している。

8月の東京は恐ろしいほど蒸し暑かったが、標高の高い猪苗代町に入るなり一気に涼しくなり、爽やかな空気に包まれた。田んぼと山に囲まれた道を走り抜け、まっすぐに猪苗代湖を目指す。
先ほども書いたが、猪苗代湖には、長浜、蟹沢浜などいくつかのビーチが整備されている。そのなかで、選んだのは志田浜だった。

シャワーや洗い場、トイレもきちんと整備され、さらにカフェや木陰のベンチ、アイスクリームショップもある。これだけでも、レジャー空間としてすでにレベルが高い。
駐車場からビーチ方面に向かうと、木立の向こうに、広い湖が見えた。その手前にはこじんまりとしながらも、ゴミひとつなく、白くて美しいビーチ。いよいよ期待が高まるが、まだ肝心の湖のコンディションはわからない。
落ち着け……自分よ!

休日の午後だというのに、人は少ない。最初に圧倒されたのは、美しい山の景色である。湖のすぐ横に堂々とした磐梯山がそびえている。水平線の向こうにあるのは遠くまで霞む山並み!

空と雲が近い猪苗代湖。

水着に着替えてさっそく湖に入ってみた。
最初は、水がひやりと冷たく感じた。
しかし、何秒かすると適温にかわり、気持ちがよかった。キーンと冷たいレイク・タホよりもむしろ泳ぎやすい。
そして肝心の湖水は……足元まではっきり見えるほど透明で碧いじゃないか!

キターーーー!!

感動しながら湖底を眺めていると、足元を小さな魚がすーっと横切っていくのが見えた。

私は沖に向かって泳ぎ始めた。
ブイのところまで行くと折り返し、足がつくところまで戻ると、また沖まで泳いだ。
いつまでも泳いでいられる。
こんな湖が日本にあったのか。
ずっと探していたものが、見つかったような気がした。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。