8月の東京は恐ろしいほど蒸し暑かったが、標高の高い猪苗代町に入るなり一気に涼しくなり、爽やかな空気に包まれた。田んぼと山に囲まれた道を走り抜け、まっすぐに猪苗代湖を目指す。
先ほども書いたが、猪苗代湖には、長浜、蟹沢浜などいくつかのビーチが整備されている。そのなかで、選んだのは志田浜だった。
シャワーや洗い場、トイレもきちんと整備され、さらにカフェや木陰のベンチ、アイスクリームショップもある。これだけでも、レジャー空間としてすでにレベルが高い。
駐車場からビーチ方面に向かうと、木立の向こうに、広い湖が見えた。その手前にはこじんまりとしながらも、ゴミひとつなく、白くて美しいビーチ。いよいよ期待が高まるが、まだ肝心の湖のコンディションはわからない。
落ち着け……自分よ!
休日の午後だというのに、人は少ない。最初に圧倒されたのは、美しい山の景色である。湖のすぐ横に堂々とした磐梯山がそびえている。水平線の向こうにあるのは遠くまで霞む山並み!
水着に着替えてさっそく湖に入ってみた。
最初は、水がひやりと冷たく感じた。
しかし、何秒かすると適温にかわり、気持ちがよかった。キーンと冷たいレイク・タホよりもむしろ泳ぎやすい。
そして肝心の湖水は……足元まではっきり見えるほど透明で碧いじゃないか!
キターーーー!!
感動しながら湖底を眺めていると、足元を小さな魚がすーっと横切っていくのが見えた。
私は沖に向かって泳ぎ始めた。
ブイのところまで行くと折り返し、足がつくところまで戻ると、また沖まで泳いだ。
いつまでも泳いでいられる。
こんな湖が日本にあったのか。
ずっと探していたものが、見つかったような気がした。