「ここに来ると、ママの同級生とか地元の人たちと出会えるのがいいんだよね」
そう話すのは、東京と長野で二拠点生活を始めたという男性だ。塚原さんが、「そういえば、この前も高校の同級生がきた。何十年ぶりに会ったの」と言う。
「彼が『塚原はこういう仕事をすると思ってた。向いてるよ、絶対に』と言うんですよ。『高校の時からしゃべるのがうまくて、周りを巻き込んでいく人だった』って」
ここまでの話を聞いて、“周りを巻き込む”とはまさにだな、と思った。ラジオのパーソナリティになったときも、資格をとったときも、スナックを始めるときも、塚原さんの話にはたくさんの人が登場した。塚原さんが乗る船にはどんどん乗組員が増えていき、本人が「想像もしてなかった!」と言う方向に進んでいった。
次回私が訪れたとき、船はどこに向かっているのだろう。
帰り際、お客さんたちが声をかけてくれる。
「長野に来たらまた寄ってね!ママに連絡してもらうから、また会おう」 「記事たのしみにしてるよ!」
見知らぬ土地で、初めて会った者同士「また!」と言い合える場所がある。たった数時間だったけれど、確かに私は「心の栄養」を受け取った。