未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
284

心の栄養を得られる居場所「コミュニティースナックまさこ」を訪ねて ママがラジオパーソナリティ!? お酒を飲まない私のスナックデビュー

文= 白石果林
写真= 白石果林
未知の細道 No.284 |10 July 2025
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#6「こういう仕事をすると思ってた」

松本市は演劇が盛んだといい、店内には演劇に携わる人が複数人いた。舞台で演じた役のことを聞いたり、おすすめの曲を教えてもらったりしながら過ごした。

「ここに来ると、ママの同級生とか地元の人たちと出会えるのがいいんだよね」

そう話すのは、東京と長野で二拠点生活を始めたという男性だ。塚原さんが、「そういえば、この前も高校の同級生がきた。何十年ぶりに会ったの」と言う。

「彼が『塚原はこういう仕事をすると思ってた。向いてるよ、絶対に』と言うんですよ。『高校の時からしゃべるのがうまくて、周りを巻き込んでいく人だった』って」

ここまでの話を聞いて、“周りを巻き込む”とはまさにだな、と思った。ラジオのパーソナリティになったときも、資格をとったときも、スナックを始めるときも、塚原さんの話にはたくさんの人が登場した。塚原さんが乗る船にはどんどん乗組員が増えていき、本人が「想像もしてなかった!」と言う方向に進んでいった。

次回私が訪れたとき、船はどこに向かっているのだろう。

帰り際、お客さんたちが声をかけてくれる。

「長野に来たらまた寄ってね!ママに連絡してもらうから、また会おう」 「記事たのしみにしてるよ!」

見知らぬ土地で、初めて会った者同士「また!」と言い合える場所がある。たった数時間だったけれど、確かに私は「心の栄養」を受け取った。

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