18時50分、開店の10分前にスナックの扉が開いた。店を訪れたのは、常連だという男性。
彼がスナックまさこを知ったきっかけは、塚原さんがパーソナリティを務めるSBCラジオ「もっと!まつもと」で流した音楽だったという。
「アメリカのロックバンド、リトル・フィートの曲が流れてきて驚いたよ。地方局のラジオで、こんなマニアックな曲がかかるなんて、選曲した人は変態だと思ったね。それから興味を持ってラジオを聞くようになって、店を出すというから通うようになったの」
リスナーが客として来店してくれることは多いそうだ。店内にはたくさんのレコードが置かれていて、客のリクエストに合わせて音楽が変わる。ポツポツと客が訪れて賑やかになった店内では、アカペラで歌い始める人もいれば、酒を片手にその曲の思い出を語る人もいた。
塚原さんは話す。
「音楽が好きになったのは、中学生の時。当時、ヒットチャートを紹介するラジオ番組があってね、カセットテープに録音して毎日聞いてた。ラジオが音楽を教えてくれたんです」
ラジオがきっかけで音楽好きになった少女は、数十年の時を経てラジオパーソナリティになった。塚原さんは2013年からの12年、月曜から金曜まで毎日ラジオに出演し、自身が選曲した音楽をかけている。
そして2024年3月、60歳でスナックをオープンしてからは、生放送を終えたあと19時からスナックを開けているという。
ラジオパーソナリティとスナックのママ。一見するとつながらないユニークなキャリアだが、どのように育まれていったのだろう。