元銀行員の友人に相談すると予想通り反対された。しかし塚原さんは、それでもやりたい気持ちを話し続けたという。すると3杯めの酒に口をつける頃には納得し、銀行員の知人を紹介してくれた。苦労しながら創業計画書をつくり、なんとか資金の目処は立った。
次は場所だ。自宅近くの物件を探すも、賃料が高い。塚原さんはこの悩みを、美容院で髪を切ってもらいながら、美容師に話した。
「そしたらね、『絶対スモールスタートがいいですよ』って知り合いの物件を紹介してくれたんです」
多国籍料理屋の物置になっていた約4坪ほどのコンパクトな空間だった。店主とも面識があり、「塚原さんなら安心だから」とトントン拍子で契約に進んだ。
YouTubeが伸びないと嘆いた日から約1年後の2024年3月、「コミュニティースナックまさこ」がオープン。開店に際し、ラジオに出てくれた人やリスナー、同級生など、たくさんの人が訪れた。
「メニューの価格設定もお酒の作り方も手探りで、はじめはずっと反復横跳びするように動き回ってました(笑)。あっという間の1年だったけど、生暖かく見守ってくれるお客さんと一緒に店ができていった感じです」
「コミュニティースナックまさこ」には、心理学を学んだ塚原さんならではのメニューが並ぶ。「心の悩み無料相談」のほか、「心の栄養チェック」「トランプでわかる!あなたのストレススイッチ」(各1,100円)や、昼間に行うプライベートカウンセリング(要予約、90分、5,500円)もある。
やってみる? と言ってもらい「心の栄養チェック」をしてもらえることに。いくつかの質問に答え、それをもとに自分のことを分析してもらえるメニューだ。
「すごく協調性があるね。グループにあなたがいると、バランスをとってくれていい感じになる。でも人の顔色をうかがってしまいがちでしょう」
これを皮切りに、ペラペラと喋ってしまう自分がいた。分析を終えると塚原さんが言う。
「クリニックのカウンセリングを受けるのはハードルが高いけど、なんか話を聞いてほしい時ってあるじゃない。でも気軽に自分のことを話せる場所ってなかなかないから、ここがそういう居場所になったらなぁと思ってるんだよね」
「こんな場所が家の近くにあったらなぁ」と私がつぶやくと、「あずさに乗ってまた来てね」と塚原さんは笑顔を見せた。