未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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織田信長も食した富山湾のキトキトな魚を求めて 深夜2時半、定置網漁船の旅へ

文= きえフェルナンデス
写真= きえフェルナンデス
未知の細道 No.293 |25 November 2025
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#7待ちわびた朝食の誤算

東の空がかすかに色づきはじめ、刻一刻と港に輝きが増していく。平行するように、刻一刻と私のまぶたが重くなっているのを感じた。睡魔との戦いが始まった。立ったまま意識が遠のきそうになり、慌てて目を開ける。

仕分けが終わり、朝食の時間と思いきや、皆が帰り支度を始めた。あ、あれ……。

「あのー、すみません。……朝食は?」 「朝食は2名以上から受付可能なので、今日はないですよ」

頭が真っ白になる。お腹がぐーっとなる。私の完全なる確認不足だった。自分の至らなさに悔しさがこみ上げる。追い打ちをかけるように横から経理の方がいう。

「ここに置いてた"かぶす"、間違えて市場に持って行かれてしまったよ」

"かぶす"とは富山湾周辺で使われる漁師言葉で、「分け前」を意味する。ここでは、漁を体験した参加者に渡される魚のことを指す。

魚市場の競りの様子

落胆する私を見かねたのか、酒井社長は特別に魚市場の競りを見学させてくれた。帰りの車中では、「お腹すいたでしょ」と手作りのクッキーまでいただいた。甘さ控えめだけど優しい味は、漁師たちの人柄を表しているようだった。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
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