さて今まで展示物や収蔵品を見てきたが、文学館では一年を通じて、さまざまなイベントも催される。詩歌をつくる講座もそのひとつだ。学芸員が担当する子ども向けの俳句講座もあれば、各地から詩歌人を招いて詩や短歌をつくる講座もある。予定表を見ると、なんと6月には私が大好きな詩人、平田俊子さんの「現代詩講座」もあるではないか! 「東京など遠方からの参加者も多いです」と八木澤さん。そして文学館の館長で、俳人の高野ムツオさんも、俳句講座の講師のひとりだ。
宮城県出身で、10歳頃から俳句を始め、進学で東京に出てからは日本を代表する俳人のひとり金子兜太(1919~2018)に師事したという高野館長。その後宮城に戻り教員をしながら、文学館とも関わりつつ俳句活動を続け、2020年に館長に就任。現在も宮城から通って、館長を務めている。
最近行った俳句の添削の講座には「5名の高校生も含めて、2班制の講座に各班20名の方が来て、和やかで熱心に話を聞いてくれます。俳句をみんなで一緒に作る、ということが、やはりとても嬉しいですよね」と高野館長。
さらに高野館長は文学館の意義についても、「大きなふたつの柱」と言うポイントを語ってくれた。
ひとつ目は、ここまでに触れてきたような詩歌作品の収集・保管・研究支援にある。特に今後は、言葉の文化を未来に継承していくことを目標に掲げている、と語る。
「言葉の文化はその国の文化の基本です。人間の生命活動の基本となる言葉の力や魅力を未来に残していきたいと思っています。SNSなどの発信によって、紙媒体が減っているという課題もあるけれども、まずは資料の収集・保管が一番の基本で、それを今の人たちに活用していただき、詩歌の普及活動を様々な形で行っていきます」
そしてふたつ目は、現代詩歌を親しむ人、そしてこれから未来に向かって詩歌を考えていく人たちのための普及事業だ。それにはやはり40年も続く「詩歌文学館賞」という賞の存在が大きい。選考委員も受賞者も、それぞれ第一線で活躍している人々が揃う。
「なにより受賞された作家たちが、さらに活動を広げて、詩人、歌人、俳人として名を残していっていただいているということがとても嬉しいことですね」と高野館長は話してくれた。