未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
306

溢れる言葉のフィールドを歩く 日本唯一の現代詩歌の総合文学館 日本現代詩歌文学館

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.306 |10 June 2026
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#7詩歌の未来

学芸員2年目となる菅原さんも実は、地元の岩手で育ち、高校の部活で俳句を続けて俳句甲子園に出場した経歴を持つ。そして現在も俳句を作り続けているという。「俳句にはひとつの物事を突きつめて作品にする面白さがありますね」と菅原さん。

前職での勤務中にたまたま文学館の募集を見つけ、チャレンジしてみたいと考えて転職したそうだ。初めて展示を担当し、「ひとつのテーマで時間をかけて展示を作り上げて、それを皆さんに観てもらうという点に、ものすごくやりがいを感じました」と続けた。

八木澤さんも大学で日本文学を専攻していたという。ふたりとも専攻や好きなことを活かせる職に就けたラッキーな人たちですね、と思わず私がいうと、「ラッキーでした」とふたりはにっこりと微笑んだ。

そう考えると、若者にとって詩歌がどんどん身近になってきているのではないだろうか。自分の周りでも、ここ数年で、アーティストやクリエイターが短歌や川柳を詠むようになり、その面白さに誰もが気づき始めているんだよな、と感じていたところだった。

しかし、八木澤さんの実感としては、まだそれが直接的な来館者数にはつながっているという感覚はないという。一方で、とても興味深い現象も起きている。八木澤さんはこうも言う。

「常設展に合わせて毎年全国から詩歌を公募するのですが、応募は毎年2000~3000通にも上ります。この膨大な詩歌を選ぶ選者として、SNSで作品を発表する世代の詩人や歌人たちにお願いすることが増えました。それに合わせて、この公募に投稿する人たちの割合も、かなり若者が増えている実感があります」

3000の応募数はかなり多い。SNSの影響はやはり大きく、今までと発表の場を変えながら、結果として若い作り手が増えているのだろう。紙媒体を収集、保存する文学館としては、さまざまな課題もあるのだろうが、詩歌のこれからに可能性を感じさせる現象ではないだろうか。

そう、私がいつの間にか福士かれんさんのファンになっていったように。紙にも、そしてオンライン空間にも言葉が広がり、それがまた、わたしたちの耳や目に届いて、心の畑を耕していくのだ。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
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