さて、仕事、仕事。
ゾウ使いの一日は、ゾウ舎の水洗いから始まる。ラオス人はまじめで、仕事も時間もかなりきっちりしているそうで、僕が9時過ぎに到着した時は既に掃除が終わっていたけど、一晩で2頭合計100キロぐらいのフンをするというから、片づけるのはけっこうな重労働。フンのチェックも大切な仕事で、固くなったり、水っぽくなっていないかを見て、ゾウの体調を管理する。ちなみに、ゾウ舎には床暖房とヒーターが入っていて、冬の寒さに備えているそうだ。
ゾウ舎がきれいになったら、次はゾウの食事。ゾウは大食漢で、1頭が1日70キロのえさを食べる。えさは地元の農家から購入している稲わらが30キロ、イネ科の植物のチモシーが40キロ。人間と同じく、ゾウも太ると足を痛めてしまうので、「ほぼ水分で太らない」という稲わらの割合が重要になる。
ゾウ舎の掃除とゾウの食事は同時進行で進み、「ゾウライド」は開園と同じ9時から16時まで。僕が訪ねたのは平日だったから、ゾウもゾウ使いものんびりしていたけど、ゴールデンウイークなどのピーク時は長い行列ができて、ゾウ達が「ゾウの村」の中の1周3分ほどのコースを200周することもあるそうだ。
ゾウに乗れるのは、大人ふたりか、大人と子どもふたりまで。ゾウ使いの体重も合わせればかなりの重量になるだろうから、「200周とは大変だ!」と思ったけど、ラオスの険しい山道の中、重い材木を引いて歩いていたゾウからすれば、人間を2、3人乗せて平地を歩くことなど朝飯前なのである。

川内イオ