未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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“天空のサバンナ”でソンと叫ぶ!

熱狂のゾウ使い1日体験記!

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.65 |20 April 2016
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#5ゾウとゾウ使いの1日

ゾウの食事である稲わらとイネ科の植物のチモシー。稲わらは近隣の農家から購入して地産地消

さて、仕事、仕事。
 ゾウ使いの一日は、ゾウ舎の水洗いから始まる。ラオス人はまじめで、仕事も時間もかなりきっちりしているそうで、僕が9時過ぎに到着した時は既に掃除が終わっていたけど、一晩で2頭合計100キロぐらいのフンをするというから、片づけるのはけっこうな重労働。フンのチェックも大切な仕事で、固くなったり、水っぽくなっていないかを見て、ゾウの体調を管理する。ちなみに、ゾウ舎には床暖房とヒーターが入っていて、冬の寒さに備えているそうだ。
 ゾウ舎がきれいになったら、次はゾウの食事。ゾウは大食漢で、1頭が1日70キロのえさを食べる。えさは地元の農家から購入している稲わらが30キロ、イネ科の植物のチモシーが40キロ。人間と同じく、ゾウも太ると足を痛めてしまうので、「ほぼ水分で太らない」という稲わらの割合が重要になる。
 ゾウ舎の掃除とゾウの食事は同時進行で進み、「ゾウライド」は開園と同じ9時から16時まで。僕が訪ねたのは平日だったから、ゾウもゾウ使いものんびりしていたけど、ゴールデンウイークなどのピーク時は長い行列ができて、ゾウ達が「ゾウの村」の中の1周3分ほどのコースを200周することもあるそうだ。
 ゾウに乗れるのは、大人ふたりか、大人と子どもふたりまで。ゾウ使いの体重も合わせればかなりの重量になるだろうから、「200周とは大変だ!」と思ったけど、ラオスの険しい山道の中、重い材木を引いて歩いていたゾウからすれば、人間を2、3人乗せて平地を歩くことなど朝飯前なのである。

カンピアンに乗りながら「サナイ」を吹くシンサイさん。お客さんがいない時は、ゾウ使いもゾウものんびり
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未知の細道 No.64

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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