未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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“天空のサバンナ”でソンと叫ぶ!

熱狂のゾウ使い1日体験記!

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.65 |20 April 2016
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#7ゾウ使いとしてデビュー!?

ゾウ使いと同じように、ゾウの頭の上に乗せてもらった。余裕の表情を浮かべているが、内心はおっかなびっくり

 ――そんなことを考えていると、中鉢さんが「イオさんも乗りますか?」と声をかけてくれた。ゾウに乗るのは、大学の卒業旅行でタイに行った時以来。懐かしい想いでかごに腰掛けていたら、中鉢さんが途中で「せっかくの体験なんだから、前にどうぞ!」と言う。
 ワオ! マジっすか?!
 ドキドキしながら、ドゥアンさんと入れ替わってブンミーの頭の上にまたがる。ついに気分だけでもゾウ使いになれた! と感慨もひとしお……になるはずだったけど、ブンミーが動き出したらバランスを取るのに必死でそれどころではなかった。かごに乗っている時もかなり揺れるんだけど、それとは比べ物にならないほど上下左右にグラングランする。もちろん、身体を固定するものは何もないから、落ちたらケガをするのは確実。
 へっぴり腰になるとバランスを崩しやすくなるから、体を起こして内またに力を入れてバランスボールにまたがるように体幹で均衡を保つのがコツらしいんだけど、なかなかどうしてゾウの歩くリズムに合わせるのが難しい。「気持ちいい!」とか言って余裕ぶっていたけど、実はビビりまくって何度もブンミーの両耳をギュッと掴んでしまった。ごめんよ、ブンミー。

ゾウのブンミーは、お絵かきもできる。心なしか、ゾウに見えるよね!?

 しかも、ゾウから降りる時はどうするのかと思ったら、少し頭を下げたブンミーから、ひょいと飛び降りてください、との指示。怖いです、手を貸してください~なんていうのは男が廃ると思い切って飛び降りたけど、地面に足がついたら汗がドッと噴き出してきた。
 リラックスして余裕でゾウに乗っているシンサイさん、ドゥアンさんの領域に達するまでにどれぐらいかかるのか、想像もつかない。でも、とにかくエキサイティングで興奮した僕は、中鉢さんに「最高でした!」と伝えると、「取材に来た方で、ゾウの頭の上に乗った人は初めてなんですよ」と言われて、ビックリポン。
 その場のノリで「この人なら大丈夫だろう」と思ってくれたのだろうけど、万が一、何かあれば許可を出した中鉢さんが怒られるに違いない。さすが副支配人という管理職でありながらバンドマンのスタイルを崩さないだけあって、チャレンジャーなのだ。

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未知の細道 No.64

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。