未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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山田町で受け継がれる相撲の絆

兄弟弟子で目指す横綱の道!

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.66 |10 May 2016
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#3たった二人の少年力士

山田町相撲協会常任顧問・川端信作さんが見守る中、練習に励む2人

 山田町は人口1万6000人ほどの小さな町だが、これまでに前田花(1964年9月十両昇進)という関取を生み出し、そのほかに幕下どまりで終わった力士も数人いるという。ひとつの町から複数の力士が誕生しているのだから、沿岸部の踏ん張りは相当なものだ。
 この相撲熱は近年まで続き、ある新聞記事には「1973年に学童相撲が始まると、町内外から100人以上が集まった」(東京新聞3/9版参照)と記されていた。
 しかし時は流れて、最近では山田町の小学生から高校生までの年代で、相撲を取っているのは二人しかいなくなってしまった。そのうちの一人が、現在17歳になった佐々木拓海くん、もう一人はこの春、地元の中学に進学したばかりの千代川勇也くんだ。
 もともとの少子高齢化、過疎化に加え、東日本大震災が起こり、さらに相撲を取りたい、力士になりたいという子どもが減っていることもあり、山田町の相撲の歴史はもはや風前の灯火に思えるが、そんなことはない。二人は立派に灯火を受け継いで奮闘している。

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未知の細道 No.66

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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