
静岡県浜松市
かつて世界一の評価を得ながら、生産者が絶えてしまった在来種の落花生の種を、約100年ぶりに探しあてた男がいた。ニューヨークの世界的な会計事務所で働いていたその男は、見つけ出した種を胸に抱いてピーナッツバターメーカーへと転身を遂げた。その落花生「遠州小落花」と元エリート会計士の「ナッツ!」な物語。
最寄りのICから東名高速道路「浜松西IC」を下車
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英語の「nuts」という単語を辞書で引いてみてほしい。「木の実」は、誰もが思い浮かぶだろう。そのほかにも意外な意味があると、英語が得意な妻から聞いて驚いた。「nuts」といえば、スラングで「~に夢中な」とか、「クレイジー」という表現になるそうだ。
僕は、少し意訳して「ぶっ飛んだ」という意味で捉えた。もちろん、良い意味で。これは、1904年に世界一の評価を受けた落花生、遠州小落花(えんしゅうこらっか)と、聞いたこともないようなキャリアを歩み、いまピーナッツバターメーカーとして故郷の浜松で「杉山ナッツ」を営む杉山孝尚さんのちょっと、いやかなりナッツ! なストーリーだ。

川内イオ