駿河竹千筋細工の特徴は、仕事の9割をひとりで担うこと。篠宮さんの工房では竹を切り、煮詰めて油を抜くのは専門の業者に任せているが、届いた竹をノコギリで適当な大きさにカットするところから仕事が始まる。その後の作業は以下の順番で進む。
① 割り・へぎ:ナタで竹を細かく割く。
② 小割:2本の刃に竹を差し込み、先端を細かく裂く。裂け目を入れた竹を両手で捻るとさらに細かく分割される。
③ 先付け:ひごの先を削り、直径1.8ミリから0.5ミリまでの丸穴に通してペンチで引っ張ると一定の太さの丸ひごができる。
④ 約200度に熱した電気ゴテに丸ひごを当てて曲げる。
⑤ 土台となる「輪っぱ」は、筒形のコテ(胴乱)を熱して、竹を巻きつけて丸める。
⑥ 輪っぱの両端を斜めに切り、円形にして継ぎ目がわからないように接着する。接着面がわからないようにつなげるのが腕の見せ所。
⑦ 輪っぱに穴を開け、ひごを差し込む。
いくつかの工程を見せてもらったが、とても地味かつ時間のかかる作業で、こうやって丸ひごを一本一本作るのかと思うと気が遠くなったが、「私は何時間でも集中して作業ができるし、そういう仕事が好き」という神谷さんは、「今まで知らなかったことを学べるのはすごく面白かった」と振り返る。

川内イオ