未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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知られざる「伊豆のお遍路」を訪ねて

快適爽快スイスイ巡礼

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.114 |25 May 2018
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#4歴史に埋もれた伊豆のお遍路

駅からほんの数分で、この自然が広がる。

 出発する前に、伊豆のお遍路について遠藤さんからレクチャーを受けた。

 「お寺を参拝した際、お経を納めることで頂ける御朱印があり、専用の公式納経帳というものがあります。今は読経をすると御朱印がもらえるのですが、昔は写経をしたものを納めていました。そこには寺院名、日付が記載されるのですが、明治時代に伊豆の寺院に収められたものが昭和40年代後半に見つかったんですよ。四国のお遍路と同じく、伊豆のお遍路も戦争に埋もれて衰退してしまったせいで、それまで伊豆にお遍路があったということは知られていなかったのですが、納経帳から調べを進めると、江戸時代から行われていたことがわかりました」

 納経帳の発見により、伊豆でもお遍路を復興させようと「伊豆霊場振興会」が結成された。しかし、伊予鉄道のバスツアーと同じような効果的な策を打つことができず、ひっそりとその存在だけが受け継がれてきた。

 伊豆の三島で生まれ育ち、今も三島で暮らす遠藤さんもお遍路の存在を知ったのは10年ほど前だというから、静岡県外ではほぼ無名。2、3年前まで、お遍路を目的に伊豆を訪ねると人は年間50人ほどだったという。

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未知の細道 No.114

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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