
2017年4月、遠野に移住。1年後の4月1日に控えていた酒税法の改正前にブルワリーを開業したかったため、3人はここから本格的に、起業に向けて動き始めた。同時に、「コミュニティブルワリー」としての活動もスタートした。
3人が思い描いたのは、地域のいろいろな「いいもの」をつないで発信しながら、地域の人や旅行者が集まってワイワイする場。そのために、まずは自分たちのこと、クラフトビールのことを知ってもらおうと、月に1回、「クラフトビールナイト」を開催した。神楽を見ながら、あるいは、燻製とペアリングしながらビールを楽しみ、クラフトビールの多様性や面白さを伝えた。同時に「これから醸造所を造ります!」と宣言し、徐々に応援者を増やしていった。
また、遠野市外、岩手県外の人にも取り組みを知ってもらうために、ビアツーリズムを開催。ホップ畑でのお花見など、ビールの里ならではの企画で、延べ100名が参加した。
その裏で、なかなか理想的な物件が見つからずメンバーの焦りが募っていた10月、遠野駅から徒歩数分、市役所のすぐ近くという絶好のロケーションに賃貸に出されたばかりの元酒屋の物件を発見。無事に契約にこぎつけると、11月末には、まだなにもないお店を開放し、地元の人を招待してキックオフパーティーを開いた。
「普通はお店が完成した時にオープニングパーティーを開くと思うんですけど、我々はそれまでの過程に地元の方を巻き込んでいきたかったんです。それで、床に養生テープ貼って、ここにキッチンができます、ここにサーバーできます、みたいなことをやりながら、ここからみんなで一緒に作っていきましょうという想いで、パーティーをしました」
凍えるほど冷え込んだこの日、お店のなかには小さな石油ストーブ一台しかなかったが、応援に駆け付けた地元住民120名の熱気で、寒さは吹き飛んだ。
年が明けて、2018年の1月20日からクラウドファンディングを始めると、目標金額500万円にたいして、390人から794万1443円が集まった。