未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
151

「世界標準のものさし」を生んだ奇跡 水月湖の地形と年縞博物館

文= 小野民
写真= 小野民
未知の細道 No.151 |10 December 2019
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#7蕪栗沼・化女沼へ

蕪栗沼の周辺を歩く

食事の後には、伊豆沼・内沼と同じくラムサール条約に登録されている蕪栗沼と化女沼にも向かった。ラムサール条約とは、正式名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」といい、1971年にイランの都市ラムサールで採択されたもの。世界では現在2260ヶ所、日本では52ヶ所が登録されていて、伊豆沼・内沼は、日本で2番目に登録された場所。その後、蕪栗沼・化女沼周辺水田も登録され、宮城県北部は世界的に見ても稀有な水鳥の要所として知られることになる。伊豆沼は湖、蕪栗沼は湿地、化女沼はダムとそれぞれ違う性質を持った登録地だ。

蕪栗沼では1時間ほどかけて沼のまわりを散策しながら、聞こえてくる鳥の声や姿について嶋田さんがレクチャー。私には何も見えない遠い場所に鳥を発見したり、鳥の鳴き声を聞き分けたりしている様子は、私が今まで触れてこなった自然の楽しみ方だ。ぜひとも日常にも持って帰るのだ、とバードウォッチングを始めるにあたってのことを聞いてみた。

「8×30の双眼鏡と20倍から30倍の望遠鏡の2つがあると、野鳥の観察を楽しみやすくなると思います。最近だと、いろんなアプリも出ているので利用してみてはどうでしょうか。鳥の鳴き声を調べるアプリもあるんですよ。バードサーチというNPOが作っている『さえずりナビ』がおすすめです」と、野鳥観察初心者の私にありがたい装備も教えてもらえた。

おやすみ中のオオヒシクイ

ちなみに、この日蕪栗沼で実際に姿を見たり鳴き声を聞いた鳥は、オオヒシクイ、トンビ、オオタカ、モズ、ヒヨドリ、ノスリ、チュウヒ、マガン、オオハクチョウ、ホシハジロ、……初めて見聞きする鳥も多く、未知との出会いや教えてもらう鳥の生態にわくわくしっぱなしだった。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。