
「……こ、これはもうバスだ。俺に運転できるのか……?」
都内のレンタカー屋さんで借りた車を目の前にして、僕は動揺していた。それも知らず、僕の背後では、僕の妻と義理の妹、彼女たちの友人3人とわが娘、あわせて6人のウーメンが楽しそうに盛り上がっている。
このメンバーのなかで、まともに車を運転できるのは、僕しかない。ここで、「ごめん、やっぱり無理」などと弱音を吐いたら……いやいや、想像するのも恐ろしい。
レンタカー屋さんで説明をひと通り聞いた僕は、普通免許で運転できる最大サイズのバンの運転席に乗り込み、女性陣に声をかけた。
「よし、出発するぞ!」
この時、僕の脳裏には、プロレスラーのカリスマ、アントニオ猪木が引退する時にスピーチした言葉が浮かんでいた。
「この道を行けばどうなるものか 危ぶむなかれ 危ぶめば道はなし 踏み出せばその一足が道となり その一足が道となる 迷わず行けよ 行けばわかるさ」
そうだ、迷わず行けよ 行けばわかるさ! 僕はアクセルを踏み込んだ。