未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
164

『旅の思い出』編 あの道、この路、旅の未知 ホワイトアウトの小国町、ヨレヨレげっそり八ヶ岳

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.164 |25 June 2020
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#3迷わず行けよ 行けばわかるさ

妻と娘、義理の妹とFさん。

「……こ、これはもうバスだ。俺に運転できるのか……?」
都内のレンタカー屋さんで借りた車を目の前にして、僕は動揺していた。それも知らず、僕の背後では、僕の妻と義理の妹、彼女たちの友人3人とわが娘、あわせて6人のウーメンが楽しそうに盛り上がっている。

このメンバーのなかで、まともに車を運転できるのは、僕しかない。ここで、「ごめん、やっぱり無理」などと弱音を吐いたら……いやいや、想像するのも恐ろしい。

レンタカー屋さんで説明をひと通り聞いた僕は、普通免許で運転できる最大サイズのバンの運転席に乗り込み、女性陣に声をかけた。

「よし、出発するぞ!」

この時、僕の脳裏には、プロレスラーのカリスマ、アントニオ猪木が引退する時にスピーチした言葉が浮かんでいた。

「この道を行けばどうなるものか 危ぶむなかれ 危ぶめば道はなし 踏み出せばその一足が道となり その一足が道となる 迷わず行けよ 行けばわかるさ」

そうだ、迷わず行けよ 行けばわかるさ! 僕はアクセルを踏み込んだ。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。