未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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『旅の思い出』編 あの道、この路、旅の未知 ホワイトアウトの小国町、ヨレヨレげっそり八ヶ岳

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.164 |25 June 2020
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#5青白い顔をした人たち

自分を鼓舞してハンドルを握りしめ、恐る恐る車を出した。むむ?出発から間もなくして、気づいた。その大型バンは、普段運転しているような一般車よりもだいぶ車高が高い。そうなると、もちろん視線も高くなる。そのせいか、なんだか運転しやすい!

首都高から中央自動車道に乗る頃には、もう鼻歌交じり。Pさんのドタキャンで席に余裕ができたので、助手席には誰も座らず、女性陣は後方でおしゃべりに花を咲かせている。僕は自分の世界に浸り、トラック野郎になった気分で、グイグイと車を走らせた。

小淵沢インターチェンジで高速を降り、川内家お勧めのレストラン、八ヶ岳カントリーキッチンでランチ。そこから、まずは少し観光をしようと白駒池に向かった。北八ヶ岳最大の池で、秋には湖面に鮮やかな紅葉が映りこむ絶景が見られるという。8月末ならまだ緑が濃い季節だから、それもまたキレイだろうと思って選んだのだが、ここから雲行きが少しずつ怪しくなっていった。

麓から白駒池まで、くねくねとした山道を通る。そこで車に酔ってしまう人が、ひとり、ふたり……。白駒池を楽しむ雰囲気でもなくなり、早々に草原屋に向かうことにしたものの、下りの山道でまたひとり。途中で車を止めて休憩し、再出発した時には、賑やかだった車内は、どんよりした雰囲気になっていた。青白い顔をした人たちを乗せ、いつ誰が吐いてしまうかという緊張感……。

それでも無事に草原屋に到着し、その日は外でバーベキュー。草原を散歩したり、庭のトランポリンで遊んだりしているうちに、みんなの顔色はだいぶ良くなった……と思っていたら、ヘルニアのSさん、トランポリンで飛びまくってグキッと腰を痛める。

庭先でバーベキュー。これがまた最高に気持ちいい!
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。