初めての年末年始旅行に参加してから、もう10年近くが経った。参加する人は「いつものメンバー」に加えて、誰かの友達とか誰かの恋人などいろいろだ。そうやって私の人生を一瞬で通り過ぎて行った人たちとも、笑いあった、一緒にごはんを食べたという心地よい記憶が残る。そのことが嬉しい。
コミュニティ内に子どもが増えていくことは嬉しいことだけれど、実は不安も感じていた。みんなでの旅行もできなくなるだろうか、とんでもなく大変な旅になるのではないだろうか、と。でも、そんなことは杞憂で千葉への旅行も、夏の海水浴旅行も、とても楽しく過ごせている。


子連れ旅にはもちろん難しさもある。だけど、この旅に身を委ねると、いろんな大人のまなざしのなかに娘がいる。私も、他の家の子たちを抱っこもするし、おしめも替える。自然とみんなで子育てしている感覚は、昔はこういう風に子育てしていたんだろうなぁという想像力をかきたてられる。
食う・寝る・遊ぶ。全部がぎゅっとつまった旅の仲間から得るものは多い。娘が小学生や中学生になってもこの旅は続くだろうか。白髪やしわが増えた私たちと、大きくなった子どもたちがバスに揺られるのも楽しかろう。そんな旅を想像するのは、とても愉快だ。
※未知の細道では、新型コロナウイルスの影響が収まるまで、ライター陣の過去の旅をつづるエッセイを掲載いたします。