未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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『旅の思い出』編 年越しはパワスポ巡り!? 20人乗りバスで行く、関東近郊旅。

文= 小野民
写真= 小野民
未知の細道 No.165 |10 July 2020
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#3全国的にも珍しい「下り宮」へ

それから、旅の仲間たちとは、頻繁に顔を合わせるように。時には一緒に飲みに行ったり、もうひとつの年間行事である新島への海水浴旅行にも行くようになった。

2014年の年末。2年空いてしまったが、久しぶりの「年末年始パワスポ旅行」へ。戸隠神社と善光寺での願いのおかげか、私は結婚し妊娠6ヶ月になっていた。だいぶ大きくなったお腹を抱えて、群馬県へ向かうバスへ乗り込んだ。このときは、もう、ただただ意気揚々として。

最初の目的地は、一之宮貫前(ぬきさき)神社。国指定の重要文化財である本殿、拝殿、桜門を持つ1500年の歴史ある神社だ。境内に向かう参道の傍らには、この日の夜から始まる初詣の出店の準備がにぎやか。あぁ、いよいよ2014年も暮れるのだ。一気に年の瀬の気持ちが高まってテンションが上がる。

その先には急な石段。運動不足の妊婦にはいい運動だ、とはりきってどんどん階段を下りて行く。そう、この神社は全国的にも珍しい「下り宮」で、宮崎県の「鵜戸神宮」と熊本県の「草部吉見神社」と並んで、日本三大下り宮なのだそう。

いつも旅の手配は、Nちゃんという初回から参加している女性におまかせだ。非常に面倒見がよく、毎回、完璧なルートや時間配分で旅を円滑に進めてくれる。ちなみに、道中の案内や夜の宴会をよく通る声で仕切るのは、Nちゃんの夫Rくん。

私は、毎年、身ひとつであえて下調べもなにもせずに行く。私は旅行も好きだし、普段は緻密に旅の計画を立てるタイプ。そんな私が唯一何も気を張らないで、ゆるんだ心で楽しむのがこの旅の醍醐味なのだ。

かくして、全く知らなかった下り宮の風情、社殿の壮麗さに心動かされ、「あぁ、なんていい年末なんだ」としみじみ感じていた。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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