現在私は、2021年1月発行予定の第4号の準備中だ。原町、小高、鹿島……と話される合併前の旧町名にも反応できるようになってきた。足を運べば運んだだけ、知り合いは増える。会いたい人もできていく。私の中でまっさらだった南相馬という土地の情報が、だんだんと密度が増していくのが嬉しい。私が満たされていくだけでなく、私は外から気持ちのいい風を運べているだろうか。
嬉しいことにいま、南相馬市のサポーターに登録してる人=『ミナミソウマガジン』の読者は888人(2020年7月末時点)。この人たちは皆、南相馬市外にいて、南相馬を少なからず想っている人たちだ。私が南相馬のことをもっと知りたい、もっと楽しみたいと思うのと同じように、南相馬へ訪れたくなる人が増えて、『ミナミソウマガジン』がそのガイドとなってくれたらこんなに嬉しいことはない。
地元の人と外からの人がもっともっと混ざり合うように、まずは自分がここへ足繁く通おう。東日本大震災後、私はすぐに足を踏み出せなかった。そのことに胸は痛み続けるけれど、遅すぎるということはきっとない。
※未知の細道では、新型コロナウイルスの影響が収まるまで、ライター陣の過去の旅をつづるエッセイを掲載いたします。