山梨県北杜市
「耕作放棄地を森に変えていこうとしている人がいるよ」と友人から紹介された。なんでも友人はそこで、たくさんのハーブティーをティスティングし、焼き芋を食べ、森を散歩したそうで、心なしかいつもより健やな顔をしているような……。心身ともにお疲れモードだった私に差し伸べられた福音か。なんだか呼ばれたような気もして、早速「森を育てる人」にコンタクトをとった。
最寄りのICから【E20】中央自動車道「須玉IC」を下車
最寄りのICから【E20】中央自動車道「須玉IC」を下車
2020年11月、私は疲れ切っていた。コロナの緊急事態宣言下で張り詰めていた気持ちが緩んだのはいいものの、ありがたいことにコロナ禍に止まっていた仕事が一気に押し寄せてきた感じ。ゆるゆると自粛生活を過ごしていたこともあって、そのギャップについていくのに精一杯だったのだ。
おそらく、私は疲れた顔をしていたのであろう。友人夫妻が訪ねたという山梨県北杜市明野の「camino natural Lab.」のことを教えてくれた。そこは、「香りの案内人」であり「森の小規模生産者」である上原寿香(うえはら・よしか)さんのラボ。「すごく気持ちのいい場所だし、寿香さんとは気が合いそうな気がする」と友人。「いつか行ってみたら?」と紹介してくれたのだが、「今でしょ!」と強く引き寄せられた私は、アポをとって数日後にはかの地にいた。つなぎに軍手、長靴、日よけの帽子というずいぶんと前のめりな格好で。
なぜならこの日は、毎週木曜日に開催している「香りのfield work」の日。その説明には「『香りと食と森を繋ぐ』をコンセプトに100年後に想いを馳せた香りの森づくりの 『森仕事』を一緒に行います」とあったからだ。もちろん、つなぎまでは強要されていないが、森に囲まれて育った私にとって、「森仕事」に惹かれる気持ちが強かった。それに「100年計画」に参加できることってそうそうない気がする。