未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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年間1万人が訪れる美深町の廃線 トロッコに乗って風の歌を聴く

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.190 |28 July 2021
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#3町の有志のアイデア

「日本一の赤字線」になった後も国鉄は全面開通を目指して工事を進めていたのだけど、赤字体質だった国鉄の経営の改善を図るため、1980年に経営状態が悪いローカル線の廃止などを盛り込んだ国鉄再建法(日本国有鉄道経営再建促進特別措置法)が公布されたことで、運命が一転。

美幸線は黒字化する見込みのない赤字路線として指定を受けて、すべての工事が中止され1985年に廃線となった。参考までに、廃線となる前の年は1日平均24人の乗客数で、営業係数は4731円だった。うーん、確かに赤字がすごい。

1985年9月16日の営業最終日には、「サヨナラ列車」が運行し、美深駅―仁宇布駅間を5往復。全国から鉄道ファンが詰めかけたこともあり、通常は1両編成のところ8両編成で走り、1日で過去最大の約3400人が乗車したそうだ。

最終運行の様子を伝える当時の新聞が、受付所に貼られている。

駅ホームの長さが2両分しかないため、残りの6両にははしごをかけて乗り降りしたと当時の北海道新聞が報じていて、そのコピーがトロッコ王国に今も貼りだされている。

「サヨナラ列車」が走る日に掲げられたメッセージ。

この美幸線の廃線が、トロッコ王国誕生につながっていく。

「廃線になった後、仁宇布駅の周辺の5キロ区間はレールも外さないでそのまま残されていました。そこで、町の有志で残ったレールをなにかに使えないかと話し合うようになりました。当初は馬に引かせる馬車鉄道をやろうかという話もあったんですが、飼育するのが大変だということで、知恵を絞った結果として線路の保線作業用の軌道自動自転車を走らせてみたらどうかということになりました」

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「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
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