いま、エレナさんはこれまでにないプロジェクトを計画している。
「秩父はフルーツ王国で、イチゴのあまりん、プラム、カボス、ゆず、キュウイ、いちじくもあります。旬の時期が来るたびに、その果物を一緒取りに行って、季節のフルーツミードを仕込み、2カ月後に自宅に届くという『レアミード定期便』をやりたいんです。最初は20名ぐらいから始めたいですね」
エレナさんには、参加者が定期的に秩父に通うことで、秩父を好きになり、あわよくば秩父を第二の故郷にしてもらいたいという思いがある。移住事業を担当した地域おこし協力隊の任期は3年前に終わっているが、ふたりの子どもにとっても、エレナさんにとっても今や秩父が故郷。移住した時には1万5000人ほどいた人口も、今は1万人を切っている。なんとか地元を盛り上げたいという思いがあるのだ。
本業のミード造りも、まだまだ進化の余地がある。ディアレットフィールド醸造所がある廃校の校庭では山椒とラベンダー、ローズマリー、ハッカなどの植物を育てている。これらをミードに入れて、健康酒、美容酒として売り出そうと考えている。さらに自社で養蜂も始めた。
「今、ミツバチが世界的に減っているんです。ミツバチが消えたら、その2年後に人類も消えると言われています。うちがミードをたくさん売ることで養蜂家さんから蜂蜜を買う量を増やせば、養蜂家さんもミツバチの数を増やすでしょう。さらに私たちが自社の養蜂でミツバチを増やすことで、少しは人類に貢献していると言えるでしょうか」
最初はそのおいしさが、ミードを造りたいと思うきっかけだった。実際にミードを造り始めたら、地域にも、地球環境にも役立てる可能性があると知った。
のんべいのミードプロジェクトは、まだ始まったばかりだ。