未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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ソ連出身・会津育ち「のんべい」が造った醸造所 水と蜂蜜で造るお酒「ミード」を秩父で醸す

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.279 |25 April 2025
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#11地域にも、地球環境にも役立てる可能性

いま、エレナさんはこれまでにないプロジェクトを計画している。

「秩父はフルーツ王国で、イチゴのあまりん、プラム、カボス、ゆず、キュウイ、いちじくもあります。旬の時期が来るたびに、その果物を一緒取りに行って、季節のフルーツミードを仕込み、2カ月後に自宅に届くという『レアミード定期便』をやりたいんです。最初は20名ぐらいから始めたいですね」

エレナさんには、参加者が定期的に秩父に通うことで、秩父を好きになり、あわよくば秩父を第二の故郷にしてもらいたいという思いがある。移住事業を担当した地域おこし協力隊の任期は3年前に終わっているが、ふたりの子どもにとっても、エレナさんにとっても今や秩父が故郷。移住した時には1万5000人ほどいた人口も、今は1万人を切っている。なんとか地元を盛り上げたいという思いがあるのだ。

ラベンダーを収穫するエレナさん。(画像提供:ディアレットフィールド醸造所)

本業のミード造りも、まだまだ進化の余地がある。ディアレットフィールド醸造所がある廃校の校庭では山椒とラベンダー、ローズマリー、ハッカなどの植物を育てている。これらをミードに入れて、健康酒、美容酒として売り出そうと考えている。さらに自社で養蜂も始めた。

「今、ミツバチが世界的に減っているんです。ミツバチが消えたら、その2年後に人類も消えると言われています。うちがミードをたくさん売ることで養蜂家さんから蜂蜜を買う量を増やせば、養蜂家さんもミツバチの数を増やすでしょう。さらに私たちが自社の養蜂でミツバチを増やすことで、少しは人類に貢献していると言えるでしょうか」

校庭での養蜂もスタート。(画像提供:ディアレットフィールド醸造所)

最初はそのおいしさが、ミードを造りたいと思うきっかけだった。実際にミードを造り始めたら、地域にも、地球環境にも役立てる可能性があると知った。

のんべいのミードプロジェクトは、まだ始まったばかりだ。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
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