迎えた結果発表。僕の毛ガニは288グラムで、食べたのは162グラム。差し引き126グラムと発表されて、ガックリきた。おいおい、わかりやすく平均レベルじゃねえか! 隣りの人は差し引き173グラムであっさりと抜き去られ、前日から温めていた優勝コメントは不要になった。振り返ってみれば、痛いとか不味いとか感じている時点で別世界の食べ方になっていないし、決死の覚悟が足りなかったのだろう。
「テッペン取るためにきた」と宣言した自分のふがいなさに、失意というより恥ずかしさを感じる。早食い競争の参加者は食べ残しの毛ガニを持ち帰ることができるので、今度はゆっくり食べながら、その後に行われた2組から6組までの戦いを眺める。
岐阜から参戦した沢井昭宏さんは、現在63歳。3年前、北海道旅行中にたまたま開催中だった「おしゃまんべ毛がにまつり」に立ち寄り、翌年も遊びに来た。その時に「全日本毛がに早食い競争」の存在を知り、今回は早食い競争に参加するために長万部に来た。
「せっかくのおいしい毛ガニなのでもったいないと思うんですけど、この後、残ったものを味わって食べたいと思います」
北海道で生まれ育ったの大西怜奈さんは、2年連続の参戦。もともと毛ガニが大好きで、上位入賞してなんとか毛ガニを持ち帰りたいという野望に燃えていた。
「去年優勝した方に、どうやって食べたんですか? と聞いたら、とりあえず飲み込むというより詰め込むって感じで食べなさいって言われました。それで今回はとりあえず最後に口を閉じればいいので、もう入れられるだけ口に入れましたね」