未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
286

別世界!?全日本毛がに早食い競争 ガブリ!と毛ガニにかぶりつく。

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.286 |12 August 2025
この記事をはじめから読む

#8運命の結果発表

結果発表の瞬間。(撮影:サオリス・ユーフラテス)

迎えた結果発表。僕の毛ガニは288グラムで、食べたのは162グラム。差し引き126グラムと発表されて、ガックリきた。おいおい、わかりやすく平均レベルじゃねえか! 隣りの人は差し引き173グラムであっさりと抜き去られ、前日から温めていた優勝コメントは不要になった。振り返ってみれば、痛いとか不味いとか感じている時点で別世界の食べ方になっていないし、決死の覚悟が足りなかったのだろう。

「テッペン取るためにきた」と宣言した自分のふがいなさに、失意というより恥ずかしさを感じる。早食い競争の参加者は食べ残しの毛ガニを持ち帰ることができるので、今度はゆっくり食べながら、その後に行われた2組から6組までの戦いを眺める。

岐阜から参戦した沢井昭宏さんは、現在63歳。3年前、北海道旅行中にたまたま開催中だった「おしゃまんべ毛がにまつり」に立ち寄り、翌年も遊びに来た。その時に「全日本毛がに早食い競争」の存在を知り、今回は早食い競争に参加するために長万部に来た。

3年連続で「おしゃまんべ毛がにまつり」に参加している沢井昭宏さん。

「せっかくのおいしい毛ガニなのでもったいないと思うんですけど、この後、残ったものを味わって食べたいと思います」

北海道で生まれ育ったの大西怜奈さんは、2年連続の参戦。もともと毛ガニが大好きで、上位入賞してなんとか毛ガニを持ち帰りたいという野望に燃えていた。

妹さんと参戦した大西怜奈さん(左)。

「去年優勝した方に、どうやって食べたんですか? と聞いたら、とりあえず飲み込むというより詰め込むって感じで食べなさいって言われました。それで今回はとりあえず最後に口を閉じればいいので、もう入れられるだけ口に入れましたね」

このエントリーをはてなブックマークに追加

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。