登城口である、鹿島神社の鳥居をくぐる。現在ある参道については昭和の時代に登りやすくするために作られたもので、中世には存在しなかったそうだ。
「冬はお城シーズンなので」という石井さんの言葉に、船木さんも頷く。「夏は蚊も多いし、何より草ぼうぼうになっちゃう」草で遺構が隠れ、見えなくなる夏よりも、草が枯れて地形も遺構もはっきり見えてくる冬は寒くても城巡りにはいい季節なのだという。
参道を登るとすぐに一、二、三段と続く崖がでてくる。垂直に切り立ったこの崖を指して、石井さんが「これは切岸(きりぎし)」と説明する。切岸とは山の斜面を削り取り、垂直に近い急傾斜の人工的な断崖にした防御構造のことだ。要は人が登れないようにするためのものだ。「30キロとかの鎧を着て行くわけじゃないですか。そうするとこの切岸は簡単には登れない」
「その間にもっと上から、弓で敵を狙うんだよね」と言うのは船木さん。そう言われると、なんだかこの場所の恐ろしさが伝わってくる。自然の地形を活かした防御施設。それだけで、攻め手は足止めされるわけだ。
ここですぐに驚いている私に、「いやいや、ここは序の口だから。城の中に入るともっといろいろあるから!」と船木さんは笑った。