「ただ、私たちもハンバーガー作りに関しては素人でした。それならば日本で、有数のプロに力を貸してもらおうということになったのです」
特にこだわったと話すのがバンズだ。先述した「バンズの神様」と呼ばれる高橋康弘さんに指導を依頼すると「これからの人生、恩返しのつもりでこの事業に協力したい」と快諾してくれたという。
平澤さんは高橋さんのことを、親しみを込めて「お父さん」と呼ぶ。
「お父さんが週三回、店に来て技術指導をしてくれました。まずはデコボコベースの社員がひとり、集中して修行させてもらいました。ひとりでバンズを作れるようになるまでに2カ月かかりましたね。次に利用者が1名、お父さんから技術指導を受け、今では本当に上手にバンズを作ってくれます」
バンズには、高橋さんが選んだ最高の素材が使われることになった。北海道産の希少な小麦「はるゆたか」、しかもその中でも最高グレードの「特等」だ。
オープンに向けて本格的に動き始めていたある日、高橋さんは北海道の小麦の生産者とつながる卸問屋の担当者を店に連れてきた。
顔合わせが済むと、おもむろに高橋さんが口を開く。
「はるゆたかって月に何袋くらい必要になる?」
残り2袋しかない在庫を見ながら「毎月20袋は必要ですね……」と答える平澤さん。
すると高橋さんが、卸問屋の担当者に向けてこう言った。
「日本中から20袋集めて、ここに入れてよ」
戸惑う担当者に、高橋さんは続ける。
「自分もこの事業に人生を捧げるつもりです。この投資は、絶対にマイナスにならないですよ」
高橋さんの覚悟を聞いた担当者は、毎月20袋を納品することを約束してくれた。
実は、この話には後日談がある。高橋さんの息子である、峰屋の二代目が平澤さんにこう打ち明けたそうだ。
「よかったですね。正直、本当に仕入れられるかわからなかったんですよ。はるゆたかの特等なんてうちでも入れられてないですから。バーガーテラスの思いが伝わりましたね」