未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
302

北海道の森から始まる甘いチャレンジ メープルシロップの伝道師が抱く夢

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.302 |10 April 2026
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#11ギャニオンさんの野望

雪の上にメープルシロップを垂らすとすぐに固まる。

そして、イベントの最後を飾るのは「メープルトフィー」。カナダで樹液を採取する時期に開催される収穫祭の名物で、雪の上にできたばかりのアツアツのメープルシロップを垂らすと、一気に冷えて少しだけ固まる。それを棒でクルクルと巻き取り、水あめのようにして食べるのだ。過去に食べた経験のある参加者の女性が「私はトフィーを天上の食べ物と呼んでいます。それぐらいおいしいんです!」と絶賛していて期待感が高まる。

面白いぐらい簡単に巻き取れる。

ギャニオンさんが、工房で今まさに煮詰めたばかりのメープルシロップを雪の上に垂らしていく。みんな割りばしで器用に巻き取り、パクリッ! 「おいしい!」「あま~い!」という喜びの声が、あちこちであがる。僕も棒でクルクルして、舐めてみた。……これは! 濃厚な甘みなのにまったくしつこくなくて、むしろ滋味を感じる。たしかに、めちゃうまい! 留学生のメーガンさんを連れてきたご主人は、「これはやばい! すごい! うまい!」と何度も連呼。その気持ち、わかります!

参加者全員のテンションがマックスに達したところで、ハーベストイベントが終了。最後に、カナダ人のメーガンさんに話を聞いたところ、彼女も大興奮だった。

「とっても温かくて、アメイジングな体験でした。カナダの友人や家族にもこの体験を伝えたいですね。メープルシロップを毎日使っていても、メープルシロップがどう作られているのかは知らないと思うから」

2日間の取材を終えて、なによりも印象的だったのは、ギャニオンさんの熱意。「ビジネスで考えたらアウト!」と笑いながら、普段はあらゆる作業をひとりでこなしているのだ。当別町でのメープルシロップづくりはまだ始まったばかりだが、ギャニオンさんには目標がある。北海道産のメープルシロップで、カナダのコンテストに出場すること。

「北海道のほうがおいしいかもしれない。私、自信あります!」

北海道産のメープルシロップがカナダでどう評価されるのか。
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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