未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
302

北海道の森から始まる甘いチャレンジ メープルシロップの伝道師が抱く夢

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.302 |10 April 2026
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#7味に個性を出すための薪

森で伐り倒した木を薪にしている。

2023年12月、ギャニオンさんは「当別町の豊かな森から、ギャニオンがつくる北海道産メープルを世界へ!」というタイトルでクラウドファンディングをスタート。目標金額300万円のところ、236人から555万8893円の支援を得て見事に成功した。この資金は、スノーモービルや樹液をエバポレーターで煮詰める際の薪の購入などに充てたという。

メープルシロップの風味に欠かせないのが、薪だ。ギャニオンさんによると、薪を燃やす伝統的な方法は手間がかかるため、カナダでは20年ほど前にエバポレーターの電化、ガス化が進んだ。ところが今、大規模な生産工場以外では伝統に回帰したところも少なくない。

「電気とかガスにしたら、味の個性、なくなっちゃったんです」

樹液を採取する場所、木、メーカーごとにメープルシロップ味が変わると先述したが、薪を使ってひと手間かけるかどうかも味に影響するそうだ。もちろん、ギャニオンさんは山で切り倒した木も薪として活用している。

2024年2月、クラウドファンディングに参加した人たちやスウェーデンヒルズなど近隣住民の手を借りて、80本のカエデにバケツを設置。初めて北海道産のメープルシロップ作りに挑んだこの年は、計2800リットルの樹液から34リットルのメープルシロップができた。2025年は樹液を採るカエデを195本に増やし、計3500リットルの樹液から40リットルのメープルシロップを作った。そして今年(2026年)は、200本のカエデから5000リットルの樹液を採取し、100リットルのメープルシロップを作るのが目標だという。

5000リットルの樹液といわれても想像がつかないだろう。僕もそうだったけど、取材初日の金曜午後、思い知ることになる。

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