
岩手県北上市
近年、若者を中心に短歌や川柳のブームが密かに再燃している。日本唯一の現代詩歌専門の文学館「日本現代詩歌文学館」。館の特筆すべき収蔵方針は、現代詩歌の「悉皆(しっかい)収集」。また、時代や社会に即したテーマを掲げる常設展も見応えがある。担当学芸員などから収集の舞台裏と、常設展示について、そのみどころ、そして現代の人々と詩歌、文学館の取り組みの関わりを聞いた。
最寄りのICから【E4】東北自動車道「北上江釣子IC」を下車
最寄りのICから【E4】東北自動車道「北上江釣子IC」を下車
5月の上旬。岩手県北上市に着くと、やわらかい雨が降り続いていた。
話は半年ほど遡り、2025年の冬のこと。青森に住む若き川柳作家の福士かれんさんから、連絡があった。今度、北上市にある日本現代詩歌文学館の常設展に作品が出品されることになったのだという。作品に添える作家の顔写真が必要になるので、松本さんが年末に青森に来る時に撮ってもらえないか、という連絡だった。写真撮影は快諾したが、「かれんちゃんが文学館で展示?」ということに驚いた。
かれんさんとは、彼女が20代だった、5年前からの知り合いだ。私が青森市内でやっていた《ACACの写真部》という写真ワークショップに参加していたのである。参加者はみな、青森県内で写真や映像作品を真剣に作っている人たちだったのだが、かれんさんはちょっと違った。写真よりも主に川柳をつくっているのだという。
彼女が作ってきた川柳に写真を添えて、スケッチブックに貼った手作りの作品集と、それを読みながら本人が朗読する川柳をヘッドフォンで聴く、という作品は、とてもよかった。東北で飲食や農業の仕事をしながら暮らしている日々を等身大で詠むその川柳が、心に残った。ワークショップ終了後も、彼女との交流は続いた。彼女はSNSで川柳や詩を発信するようになった。いつの間にか私は、彼女のファンになっていたのである。
彼女が初めて博物館で作品を展示するのなら、それは見に行かねばなるまい、と思って、私は北上市の日本現代詩歌文学館に向かったのである。