気づけばもうお昼過ぎ。ペンギンとプーズーのお世話がある小山さんにお礼を言って別れ、広大な埼玉県こども動物自然公園を歩いた。さすが、「エンリッチメント大賞」を4回も受賞しているだけあって、見どころが多い。
カンガルーやカピバラの展示スペースには、動物と人間を遮るものが低い位置に張られたロープ一本! いきなりの蒸し暑さでカンガルーもカピバラも木陰でゴロンと休んでいるのに、妙に胸がドキドキする。
約5000平方メートルある、自然のままの雑木林にシカとカモシカが放たれていて、ウッドデッキを歩きながらその姿を探す「シカとカモシカの谷」も、ほかでは見られない展示だ。本当に森のなかでシカとカモシカに遭遇したような気分になる。
レッサーパンダの展示場所は植物が生い茂っていて、レッサーパンダがどこにいるのか一瞬わからなかった。
とんでもなく広い園内をぶらぶらしていると、動物園の「なんとかして動物たちの環境を良くしてあげたい」という強い想いと工夫をひしひしと感じた。
そして、小山さんの話を思い出してはニヤニヤしていた。だって、想像してほしい。ペンギンヒルズでのびのびと暮らすペンギンにまじって、プーズーの親子が草を食む姿を。

川内イオ