
4日目は、湖の近くの森の中にあるキャンプ場で一夜を明かすことになった。キャンプ場は恐ろしいほどの無人ぶりで、森の深さや静けさがひたひたと迫ってくる。
「『13日の金曜日』のジェイソンが出てきそうだよね。なんだか怖いなあ」と私は辺りを見回した。
私たちは一抹の恐怖をかき消すように、花火をすることにした。
周りへの騒音も一切気にすることなく、打ち上げ花火もバンバンあげまくる。
ナナオは初めての本格的な花火に興奮していた。よかった、よかった。
その後は特にやることもなく、早目に就寝タイム。都会育ちの私はあまりの人気のなさにトイレに行くのすらもビクビクしていたが、音楽を聞いて、面白い雑誌記事を読んでいるうちに寝てしまっていた。
翌朝、キャンピングカーから外に出ると、夜とはうってかわって光が溢れる森の世界が広がっていた。遥か遠くまで木立が続いていて、柔らかな日差しが燦々と降り注いでいる。なんてきれいなんだろう!
もはや自分たちが大草原の小さな家の家族になった気分だ。
私たちはテーブルと椅子を草の上にセットし、コーヒーを入れた。
ナナオは「それでは、ぼうけんにいってきます!」と笑顔で言い、木立の中を全速力で走り始めた。
「いってらっしゃーい!」
私は久しぶりに本を広げて、ゆっくりとコーヒーを飲んだ。
キャンピングカーと北海道とコーヒー。その組み合わせは、最高としかいいようがなかった。