
初めてのキャンピングカーだったが、素晴らしい発明品だということはすぐに実感した。ベッドもあるし、キッチンもテーブルも電源もある。ないのはトイレとシャワーくらいだ。
もう宿やホテルを探してヤキモキしなくてもいいんだ、こりゃ、すごいぞ、キャッホー!最高!
まずは富良野方面に車を走らせた。
旭川の街を抜けると、すぐに風景は「北の大地」のイメージそのままとなった。ここは北海道の中でも「道東」と呼ばれるエリアで、湖や湿原など手付かずの大自然が残っている。
道は延々と真っ直ぐで、クルマも人も少なく、両側にポツンポツンと家があるだけ。その家の奥には、遥か先まで草原が広がり、遠くには雄大な十勝連峰が見える。
ナナオは、「ねえ、あれ、くりすますつりー、じゃない?」と言いながら、一本の高い木を指差した。
「そうだね、クリスマスツリーに似てるねえ」
快調にドライブを続けていると、草原にポツンと佇むパン屋さんが目に入った。まさに『大草原の小さな家』そのもの、映画の中から抜け出してきたようだ。
「あそこでランチを食べよう!」
私たちはパン屋さんに吸い込まれた。
広いバックヤード(というより草原)にはテーブルや木製のブランコがあった。スープと焼きたてのパンを食べた後はたっぷりとそこで遊び、気がつけばもう夕方になっていた。