
関東近郊
今では自分にとってなくてはならないコミュニティの存在がある。その仲間たちと出会ったのは、苦渋の決断の末に行ったバス旅行。年月を経て変化する大勢での旅の楽しさとは。
2011年の秋、私は猛烈に悩んでいた。もう20代の半ばを過ぎていたけれど、今思えばずいぶんと青臭い悩みごとだった。
付き合って半年ほどの彼氏から、「年末年始に恒例の旅行がある。20人くらい来るんだけど、一緒に行かない?」と誘われたのだ。気軽に誘いに乗ればいいものの、思春期から「大人数が苦手」という呪縛があった私は、この誘いにかなりひるんだ。だって、部活もサークルも人と関わりたくなくて全力で避けてきた。
一方の彼は、夜遊び大好き、クラブ通いが板についたシティーボーイ。その彼の大学時代からの仲間ってどんな人たちだろう。けたたましいクラブの光景を思い浮かべて、ひとり憂鬱になっていた。
進学も、就職も、退職も、ほとんど何も「相談」をしてこなかった私だけれど、このときばかりは母に電話で相談した。母は内心、あきれていたと思う。「どっちでもいいんじゃないの。でも、今回行かなかったら、一生その会には行かないんじゃない?」
この母の言葉を思い出すと、私は今でも泣けてくる。この一声で私の人生は変わった。