未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
167

新潟県、富山県、香川県

オルセー美術館が廃止された駅舎から生まれたように、日本にも廃校や古い発電所、郵便局などがまるまる美術館やアート作品に生まれ変わった例がある。今回のコラムでは、日本各地のアート巡りを趣味とする私が、過去5年間で発見した魅力的なアートスポットを紹介し、異世界へ誘います。

文= 川内有緒
写真= 川内有緒
未知の細道 No.167 |11 August 2020
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  • 伝説
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  • 穴場
新潟県、富山県、香川県

#1元駅舎の美術館を目指して走った

10年以上前だが、フランスのパリに住んでいたことがある。セーヌ川から歩いて5分ほどのアパルトマンの窓からは、石畳の通りとカフェが見えた。
そこに暮らした4年間、ときおりセーヌ川沿いの道を走った。高い建物がないパリの空はとても広く、夕暮れどきに走ると気分は最高だった。

ランニングのゴールにしていたのは、セーヌ川沿いに建つオルセー美術館である。息があがり、ああ、もう疲れた! と思う頃には、壮麗なアーチ型の天井を持つ建物が見えてくる。壁面にとりつけられた時計がはっきり見えると、「よーし! あそこまで頑張ろう」と思えた。

  • よく知られたことだが、このオルセー美術館はもともと長距離列車のターミナル駅で、「オルセー駅」と呼ばれていた。19世紀に駅舎としての役割を終えたあとは取り壊される予定だったが、市民の反対運動をうけて、最終的には美術館として活用されることになった。素晴らしい英断に、大きな拍手を送りたい。
    なかに入ってみると、駅舎だったときの雰囲気を存分に残していて、さすが古いものを大切にするヨーロッパだと感心してしまう。

    しかし、実は日本国内にも、古い学校や発電所、郵便局などを利用したユニークな美術スポットが存在するのだ。どれも、元の建物の特徴を上手に活かしていて、外からも中からもワクワクさせるような魅力を持っている。
    今回の「未知の細道」は、美術スポットめぐりを趣味とする私が実際に出会った、古い建物を活用した美術館やアート作品を紹介したい。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。