未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
167

『旅の思い出』編 過去から甦る建物と生き続けるアートをめぐる旅

文= 川内有緒
写真= 川内有緒
未知の細道 No.167 |11 August 2020
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#4日本にもあった!発電所を使った美術館

パリのオルセー美術館が元駅舎ならば、ロンドンを代表する現代美術館、テート・モダンは、元火力発電所である。1981年に閉鎖され、一部取り壊されて半ば廃墟化した建物をリノベーションしたものだ。発電機があったタービン・ホールをエントランスにするなど、以前の建物の特徴や良さを生かした空間づくりも見所だ。

実は日本にも同様の美術館が存在する。富山県の「入善町 下山芸術の森 発電所美術館」、通称・発電所美術館である。
ここは元々水力発電所だった場所で、その名前と建物のせいか、訪問者のなかには発電の仕組みなどに関する博物館と勘違いする人もいるらしく、ホームページには以下のような注意書きがある。

当館は「発電所美術館」という名称ですが、「水力発電所をリノベーションした美術館」という意味で、「発電所の施設や仕組みを紹介する美術館」ではございません。当館では主に現代美術作家の新作展を行っております

実は友人から「有緒さんは、発電所美術館が好きだと思うよ」と予言めいたことを言われ、訪問することを決意。昨年の冬に、友人二人と北陸新幹線に乗り込んだ。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。