未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
170

茨城県常陸太田市

里山の静かな町、常陸太田市で立ち上げた〈論文〉を読む研究会。そこで出会った仲間たちと、ある論文の世界に通じる場所へと旅に出た。論文の中を旅した日々、そして76年前の歴史と、私たちの人生が交差する神戸の街を歩いた一日のことを振り返る。

文= 松本美枝子
写真= 山野井咲里(表記のないものすべて)・松本美枝子ほか
未知の細道 No.170 |25 September 2020
  • 名人
  • 伝説
  • 挑戦者
  • 穴場
茨城県常陸太田市

最寄りのICから【E6】常磐自動車道「日立南太田IC」を下車

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#1〈論文〉を読む読書会

メゾン・ケンポクの読書会

「クリティカル・リーディング」という言葉を、ご存知だろうか。

基本的には学術論文を読むための手法であり、著者の主張を正確に理解しながら、その主張を批判的に読解する手法をいう。大学のゼミなどで経験したことがある人もいるかもしれないが、普段の生活で本を読むうえでは、めったにやらない勉強方法だろう。かくいう私も最近までやったことも、聞いたこともなかった。

私は茨城県の北部、人口4万9千人ほどの小さな町、常陸太田市に暮らしている。そしてこの町で仲間たちと共に、美と芸術の本質を問う学問「美学」の基礎文献を読むクリティカル・リーディングの読書会をはじめて、もう1年4ヶ月にもなる。

この読書会は月1、2回ほど。時々入れ替わりはあるものの、今では10名ほどのメンバーがいて、論文を読むためだけに集まるのだ。これまで7本の論文を読んできた。

参加者の世代は20代から60代までと幅広く、職業もバラバラだ。今では大学の教員や、東京都のアート・プロジェクトに関わる職員など、地域の外から専門の人たちも加わっている。読む論文は主に海外のものを中心に、現代の美術を取り巻く状況を理解するために必要なものを、毎回みんなで話し合って決めている。
つまりは指導教官のいない自主ゼミのようなものなのだが、在野で、しかも茨城の片田舎では、珍しくも熱心な美学の研究会だと自負している。

熱心な研究会だが、最初はたったの4人で始めた。これがこんなにも熱く、ずっと続くものになるとは、当時は予想もつかなかった。

この研究会の名は、「メゾン・ケンポクの読書会」という。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。