

さっそくハイキングロードを歩く。
標高約800メートルに位置する森の道なので、夏だというのにとても涼しい。それでいて、アップダウンは少なく、ウッドデッキ風の緑道が整備されているので、小さい子でも歩きやすい。最初は、少しだけ歩ければそれでいいかと思っていたのだが、どんどん先に進みたくなった。
私は旅の記事などをよく書いてきたので、ガチなアウトドア派なんじゃないかと勘違いされるのだが、実は山登りなどはまったく好きではない。というか、登りの傾斜をみるとすぐに逃げ出したくなる。その一方で、私は森の中を歩くことはとても好きなのだ。いや、むしろ積極的に歩きたい! というややこしい好みをしている。まあ、要するに軟弱アウトドア派なのである。
冒頭で触れたカリフォルニアに行ったのも、ヨセミテ国立公園に広がる原初の森を歩くためだった。ここはもちろんヨセミテほどワイルドではないけれど、裏磐梯の多様な自然が形作った木立の道は実に美しいではないか。
ゆっくりと木立の中を進んだ。普段の都会の生活では歩くことが大嫌いな娘も、虫を見つけたり、蛇の抜け殻にびっくりしたりしながら、楽しそうに歩いている。
そうして、500メートルほど歩いた頃だろうか、唐突に別の沼が現れた。地図で確認してみると「赤沼」である。