未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
283

農業未経験でヘーゼルナッツ栽培に挑んだ男の12年 閑静な住宅街に行列ができる「一度も凍らせないアイス」誕生の舞台裏

文= 白石果林
写真= 白石果林
未知の細道 No.283 |25 June 2025
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#4涙を流した「はしばみフィナンシェ」

28歳の時、岡田さんはある洋菓子と出会う。岡山の名店「モーツァルト」のパティシエ・大石圭佑さんがつくる「はしばみフィナンシェ」だ。

これを一口食べたとき、つーっと涙が出た。味はもちろん、パッケージまですべてが完璧だと思った。とくに、「はしばみ」という響きが心地いい。

「大石さん、はしばみってなんですか?」

「正式には『セイヨウハシバミ』といって、ヘーゼルナッツの和名だよ」

これがヘーゼルナッツとの初めての出会いだった。岡田さんの頭には、当時お世話になっていた元パティシエの先輩の言葉が浮かんだという。

「将来お菓子屋が、素材まで自分でつくるような時代がやってくるぞ」

しかしこの時、ヘーゼルナッツは南国で育つものと思い込んでいた岡田さんは、「雪国である長野で栽培するのは難しいだろう」という結論に達する。

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