
北海道長万部町
6月29、30日に開催された北海道長万部町の「おしゃまんべ毛がにまつり」。
このお祭りのメインイベントのひとつ「全日本毛がに早食い競争」に参戦した。
それは、想像を超える闘いだった。
日本一を目指した決戦の結果はいかに?
最寄りのICから【E5】道央自動車道「国縫IC」を下車
最寄りのICから【E5】道央自動車道「国縫IC」を下車
ハンバーガーを食べるように、ガブリッと毛ガニの胴体にかぶりつく。
もちろん46年の人生で初めて、恐らくこれから先も二度とないだろう。贅沢といえば贅沢、もったいないといえばもったいない……けど、そんなことを考える余裕はなかった。
僕は、6月29、30日に北海道の長万部町で開催された「おしゃまんべ毛がにまつり」の2日目、「全日本毛がに早食い競争」に挑んでいた。出場者は北海道内外から集った30名で、最も遠方の人はなんと奈良県から参戦。
ルールはいたってシンプルだ。タイムリミットは90秒。その間に、一杯の毛ガニをどれだけ食べられるのかの勝負になる。スタート前と90秒後に毛ガニの重さを計測し、その差が大きい人が日本一の称号を得る。取材の前日、僕は勝利のヒントを得ていた。
「優勝するような人は、別世界の食べ方なんですよ。90秒しかないので、味わうなんてもんじゃなくて、詰め込むんです。胴体が一番重いから足は後回しで、ビロビロした食べられない部分(エラ)も、殻もぜんぶ食べちゃうんですよね。口から血を出しながら食べる人もいます」
「カニは食ってもガニ食うな」という言葉がある。ガニとは、甲羅を外したお腹にあるエラを指す。公益財団法人・海洋生物環境研究所のホームページには「エラのところは不潔。食べて食べられないことはないが、旨くはないし、普通は食べない」とある。
流血しながら「普通は食べない」ところも食べる。「全日本毛がに早食い競争」は、僕の想像を超えていた。この決戦を制し、“テッペン”を取るために目指した「別世界」。