今井さんは水泳少年で、高校時代には個人メドレーで埼玉の高校新記録を出している。大学は、水泳のエリートが全国から集う日本大学に進学。しかし、東京での寮生活が始まると体育会系の部活にはびこる理不尽なしきたりに嫌気がさして、ケガをしたのを機に中退した。
それに怒った両親のもとに帰ることもできず、東京生活が始まる。今井さんは在学中、水泳をやりながら都内の劇団に入っていて、学校を辞めた後は俳優を目指した。
「僕は、マニアックな映画好きではないけど、子どもの頃からよく映画を観ていました。映画のなかには人の人生がいっぱいありますよね。20歳前後で人間ってなんだろうとか、人生ってなんだろうって悩むようになった時、人間を掘り下げて、いろんな人生を疑似体験する俳優の仕事に興味を持ったんです」
東京で暮らしながら劇団員を続けるためには、働かなくてはいけない。同じ劇団の仲間の紹介で設備工事のアルバイトを始めた。あくまで生活費を稼ぐためと思っていたが、仕事が思いのほか面白い。目をかけてくれた親方のもとで、着々と腕を磨いた。
5年経った頃、親方が故郷の青森に帰ることになった。その際、「道具は置いていく。仕事もあるし、やらないか?」と言われた。
「僕が引き継ぐことで、親方が青森から東京に出てきてやってきたことがなんらかの形で残るのが嬉しいのかなと思ったんで、やりますと言いました」
25歳で独立。その頃、実家の経済状態が悪化したこともあり、俳優になることを諦めて設備工事の仕事に専念した。